剪定ばさみの研ぎ方

剪定ばさみの研ぎ方

今回は、剪定ばさみのメンテナンス方法についてお話します!

 

 

 

普段のメンテナンス方法


生木を切った剪定ばさみの刃には、必ずヤニがこびりついています。

これを放っておくと固まり、切れ味が落ちるうえに刃の開閉にも影響が出てきます。

 

切れ味の悪い剪定ばさみは、作業効率が落ちるだけでなく木の切り口を傷つけてしまいます。

そしてそのはさみが錆びだらけだったとしたら、切り口から錆汚れが入り込んで木を病気にしてしまう可能性もあります。

そのため、作業後には汚れをしっかり落とすことが大切です。

 

作業直後であれば水洗いでも汚れは落とせますが、80度くらいのお湯につけて使い古しの歯ブラシ等でこするとより落としやすくなります。


汚れを落とした後に水気が残っていると錆の原因になりますので、メンテナンス後には必ず水気をふき取ってください。

そして仕上げに刃物油(椿油や食用油でも代用可能)を塗布すると錆予防として効果的です。


それでも落ちない錆や、硬い枝を切ったりぶつけたりして出来てしまった刃の欠けを修正するためには刃を研ぐ必要があります。



剛研 曲線刃用砥石




TOGIBUでは剪定ばさみのような曲線形の刃物に向けた【剛研 曲線刃用砥石】を販売しています。

 

この砥石の大きな特徴は、砥石の上と下それぞれが凸型と凹型の曲面になっていることです。

これにより、様々な曲線形の刃物を研ぐことができます。

 

 

剪定ばさみの研ぎ方




研ぎ始める前に、砥石(荒・中・仕上から必要なもの)、桶(砥石の浸水用)、滑り止めのある軍手、レンチ類(はさみを解体するため)を用意します。

そして、浸水が必要な砥石であれば水に浸けておきましょう。

 

【剛研 曲線刃用砥石】であれば5分ほどで砥石に水が浸透します。


その間に剪定ばさみを分解して研ぐ準備をしましょう。


※けがをしないように滑り止めのある軍手を付けることをおすすめします。

 

 

分解作業の手順

 

  1. はさみの縦軸のナットをレンチで外します。
  2.  握りの留め具を開いてバネを外します。
  3. 軸ネジを手で外したら分解作業は終了です。

 

このとき、はさみの軸ネジが切り刃と受け刃のどちらから入っていたかを確認しておきましょう。
(スマートフォン等で写真を撮っておくと後からでも確認しやすいのでおすすめです)





砥石とはさみの用意が出来たら、いよいよ研ぎ始めます。

 

まずは切り刃の表面の研ぎ方です。


錆や刃こぼれの程度がひどい場合は荒砥石を、切れ味を良くしたい場合は中砥石を使用してください。


研ぐ際は、曲線刃用砥石の凹型の面をまんべんなく使い、汚れや錆をとるイメージで研いでいきます。

 

何度か研いで、刃先の裏面に「カエリ」ができていれば研げている証拠です。

 

途中、砥石を水に濡らすことでよりキレイな仕上がりになります。

刃の流れに砥石を沿わせて、刃先へ向かうように仕上げてください。

 

荒砥石で研ぎ始めた場合、錆があらかた落ちたら、刃を洗って中砥石に切り替えてください。


刃こぼれの修正の場合は一度に直しきろうとすると刃を削り過ぎてしまう可能性がありますので、何度かに分けて少しずつ直した方が刃を長く使うことができます。

 

 

続いて切り刃の裏面を研ぎますが、裏面は刃先に付いたカエリを3~5回研いで取るだけです。


このカエリをとらずに剪定ばさみを使用すると、上下の刃が衝突してはさみがカエリを噛んで引っ掛かってしまいますので忘れずに取りましょう。





 

そして、このときにはさみの擦りあう面は絶対に研がないようにしてください。

 

面を研いでしまうと、はさみは切れなくなってしまいます。





切り刃が研げたら次は受け刃を研いでいきますが、受け刃はあまり研ぐ必要はありません。

刃先が欠けたり、擦り減ったりした場合には曲線刃用砥石の凸型の面を使用して研ぎます。


受け刃も、切り刃と同様に砥石を刃の角度に合わせて刃元から刃先へ繰り返し研いでいきます。

受け刃の研ぎではカエリは出ないので、刃に傷が残っていないか確認をして問題が無ければ終了です。



最後に研ぎ終えた剪定はさみを組み立てていきます。

 

組み立てる前に、刃が重なり合う箇所に油をさします。


普段のメンテナンス方法の章でもご案内したように錆防止になりますし、油をさすことで動きが良くなります。

油をさしたら、ネジを留める前に重ね合わせて刃に油を馴染ませましょう。


次に軸ネジを入れますが、このとき、軸ネジを入れる方向に注意してください。

無理やり入れてしまうとネジ山が潰れて破損の原因になります。

軸ネジが通ればナットをつけてレンチで留めますがまだ強く締めないでください。


次にバネを取り付けます。ここで、ナットを調節して刃の開き具合を調節します。

良い具合に落ち着いたら、再度刃とネジ部分に油をさします。

 

油を馴染ませたら研ぎのメンテナンス完了です。




剪定ばさみは、正しいメンテナンスをすることで何十年も使い続けることができる道具です。


今使用されている剪定ばさみも、家のどこかに眠っている剪定ばさみも、一度状態を確認してみてくださいね。


Youtubeでも研ぎ方の解説動画を公開しておりますので、ぜひご覧ください。

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曲線刃用砥石「剛研」剪定鋏の研ぎ方【ナニワ研磨工業株式会社】