研削砥石とは | 日本の加工技術を支える「工具の基礎知識」

研削砥石とは | 日本の加工技術を支える「工具の基礎知識」

こんにちは、ナニワ研磨工業公式通販サイト「TOGIBU」編集部です。

研削砥石は、機械加工(特に研削加工)において欠かせない工具です。

自動車やロボット、電子工学……その高い技術力を世界的に評価されている日本の製造業。

今回は、日本の技術を支える研削砥石について、砥石メーカーである当社が解説していきます。

 

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研削砥石とは

 

「研削加工に用いられる砥石」を指します。

主にグラインダーに取り付け、対象の表面上で高速回転させることで整形します。

その種類によって、研磨や塗膜はがし、面取りなど幅広い用途に使用されます。

 

 

【リストで一覧】5種類の研削砥石と特徴

 

研削砥石の種類には、以下の5つがあげられます。

  1. フレキシブル砥石
  2. 研磨ディスク(フラップディスク)
  3. ミニ砥石
  4. オフセット砥石
  5. ガラスクロスディスク

 

それぞれのくわしい解説です。

 

 

フレキシブル砥石:オールマイティなバランス型

比較的やわらかく、適度な弾性があります。

磨きと削りの性能をほどよく両立しているため、「研削」「研磨」どちらにも対応力のある最もスタンダードな砥石です。

 

研磨ディスク:研磨に特化したソフトタイプ

「フラップディスク」とも呼ばれます。

非常にソフトな使用感と回転時の振動の少なさから、初心者でも扱いやすい砥石です。

深い削りが起こりづらく、特に曲面の研磨加工に適しています。

 

ミニ砥石:細かい作業を任せるなら

小ぶりな砥石で、細かい部分の精密な加工に適しています。

小型のグラインダーやリューターなどで回転させて使用されます。

 

オフセット砥石:ガツガツ削り進める

"オフセット(offset)"は「埋め合わせる/相殺する」という意味で、

工具と砥石を固定するナットを隠すよう中心部にふくらみがあります。

耐久力に優れ、パワフルな削りを得意とした砥石です。

 

ガラスクロスディスク:鉄以外の加工に

ガラス繊維を主成分とした「ガラスクロス」の基材に、研削材を付着させた砥石です。

目詰まりがしにくく、非鉄金属や非金属の「研削」「研磨」に用いられます。

 

 

 

研削砥石の構造と砥粒の素材ごとの用途

 

研削砥石工業会によると、

『研削砥石とは、砥粒(グレーン)、結合材(ボンド)、気孔(ポア)の3要素で構成されています。』

 

出典:研削砥石工業会. "工業会概要". http://www.jgw-asn.com/publics/index/22/. (参照 2025-05-16)

とあります。

 

砥石の性能や用途は、それぞれの素材と製法によって決定されます。

 

 

砥粒 | グレーン

砥粒は「砥石に含まれる研削/研磨材」のこと。

つまり、ものを実際に削る部分です。

粒度は、砥粒の大きさを表す単位で、「#1000」のように表記されます。

数値が小さいほど粒が細かく、数値が大きいほど粒が荒くなります。

 

砥材の種類と用途

砥粒の素材を「砥材」といい、

「A(褐色アルミナ質)」「WA(白色アルミナ質)」「GC(緑色炭化硅素質)」の3種類が主です。

それぞれには、以下のような用途の違いがあります。

 

  • A:普通鋼(一般鉄)・鋳鉄・鋳鋼など
  • WA:焼入鋼・ステンレス・合金鋼・特殊鋼など
  • GC:超硬合金・アルミ・陶磁器・非鉄金属・石材など

 

出典:ナニワ研磨工業株式会社. "Q&A". https://www.naniwa-kenma.co.jp/faq/. (参照 2025-05-16)

 

結合材 | ボンド

砥粒同士をくっつける"つなぎ"のようなものです。

ビトリファイド(V)、レジノイド(B)、ゴム(R)などの種類が存在し、用途ごとに使い分けられます。

 

気孔 | ボア

砥粒と結合材のすき間で、削りくずを排除する役割があります。

基本的には荒い砥石ほど気孔を多く含みます。

 

 

ナニワ研磨工業 おすすめオフセット砥石3選

 

いろいろな研削砥石をご紹介いたしましたが、 

その中でもナニワ研磨工業が扱うオフセット砥石からおすすめ商品3つをご紹介します。

 

オフセット砥石でお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。

 

 

1.ナニワ オフセット砥石(標準タイプ:金属用)

 

特徴:優れた研削能力と経済性を持ち、安全性・耐久性にも配慮されたスタンダードなモデルです。砥材は A または WA、最高使用周速度は 72 m/s(4,300 m/min)と高性能。

 

用途:鋼・鋳鉄など金属全般の研削に適しています。

 

おすすめポイント:コストパフォーマンス重視の方に最適。多くの現場で選ばれている汎用モデルです。

 

 

2.ナニワ オフセット砥石(非金属・石材用タイプ)

 

特徴:非金属素材(石材・コンクリート・耐火煉瓦・タイル・ガラス・アルミなど)に優れた研削能力と高い安全性を備えたモデルで、砥材は GC、硬度 M、最高使用周速度も 72 m/s(4,300 m/min)です。

 

用途:建築材料やタイルなど、多様な非金属素材の研磨に適しています。

 

おすすめポイント:金属以外の素材を扱う現場には欠かせない一枚です。

 

 

3.ナニワ 弾性オフセット砥石Z

 

特徴:振動を吸収する“弾性”を備えており、タッピング(突き上げ)を防止。低騒音で作業負担も軽減され、使用面の溝が力を効率的に分散する設計です。

 

用途:一般鋼・ステンレス・ハイス鋼・鋳物など広範な金属材に対応可能。

 

おすすめポイント:快適な作業性と効率を重視したいプロ向け。2023年6月に新商品としてリリースされました。

 

 オフセット砥石各カート

 

 

使用上の注意と「特別教育制度」

 

研削砥石の交換や試運転の業務は、無資格の状態では行ってはいけません。

一連の業務をするためには『研削といしの取替え等の業務に係る特別教育』の修了が必要です。

もし無資格で行った場合は、事業者と労働者に罰則が適用されます。

(労働安全衛生法第119条、第120条)

 

また、研削加工には「機械研削」と「自由研削」の2つがありますが、

それぞれの特別教育を受けなければならないことも注意してください。

必ず業務に沿った特別教育を受講するようにしましょう。

 

例えば『自由研削といしの取替え等業務特別教育』は、

学科と実技をあわせて6時間ほどで、1日での取得が可能です。

 

出典:コマツ教習所. "研削といしの取替え等の業務に係る特別教育". https://www.komatsu-kyoshujo.co.jp/KkjReservation/Subjects/special/CourseDetailSpecialGridingWheel.aspx. (参照 2025-05-16)

 

 

まとめ:高品質な「ものづくり」を支える砥石

世界に誇る日本の産業は、数々の卓越した技術者によって支えられています。

そんな技術者の方々が日々挑戦する「ものづくり」に、砥石を通じて、

少しでも貢献できることを願っています。

 

TOGIBUでは、みなさんの生活が少しでも豊かになるように、お役立ち情報を発信しています。

気になった方は、ほかの記事もぜひチェックしてみてください。

 

最後までお読みいただきありがとうございました!

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