こんにちは、ナニワ研磨工業公式通販サイト「TOGIBU」編集部です。
鉄工ヤスリは、金属を削ることで、表面を滑らかにしたり、
寸法の調整、母材の面取り(めんとり:角を取ること)を用途とした工具です。
とくに、機械加工が終わった金属製品の手作業での仕上げや、
アクセサリーや仏具、家具などの彫金(ちょうきん)に使用されます。
もちろん、業務用だけでなく、ご家庭でのアルミ家具などのDIYでも活躍します。
この記事では、鉄工ヤスリの種類を徹底的に解説。
加えて、種類別の用途や基本的な使い方をご紹介。
ヤスリの基本を網羅できる記事となっています。
ぜひ最後までお読みください。
鉄工ヤスリとは

ヤスリは、棒状の金属に細かい刃がついた工具で、母材の切削や研磨に使用します。
用途によって、主に3種類の大きさを使い分けます。
ヤスリの種類(※)
- 鉄工ヤスリ(大き目サイズ)
- 組ヤスリ(中ぐらいサイズ)
- 精密ヤスリ(小さめサイズ)
※引用:ツボサン株式会社. "ヤスリの特徴と選定ポイント". ヤスリ・切削工具ならツボサン株式会社 - https://tsubosan.co.jp/support/support_points/(参照 2025-07-24)
機械や機械部品の製造現場でよく使用されているのは、
鉄工ヤスリと組ヤスリ(くみやすり)です。
鉄工ヤスリは、ヤスリの中でも特に大型で、切削力(ものを削る力)に優れているため、
硬い素材にも対応しています。
また、鉄工ヤスリは、柄(持ち手)と別に販売されていることがあります。
購入されるときは、持ち手の有無を確認しましょう。
鉄工ヤスリの種類と用途
鉄工ヤスリの種類は、以下の要素で分けられます。
- 形状
- 目の粗さ
- 複目(ふくめ)/ 単目(たんめ)
- 上目(うわめ)と下目(しため)
これらの特徴を知ることで、適切な用途に使用することができます。
形状
鉄工ヤスリの形状には、
平(ひら)、半丸(はんまる)、丸(まる)、角(かく)、三角(さんかく)の
5種類あります。
鉄工ヤスリの形状一覧(名称|断面|用途)
- 平(ひら)|長方形|平面の削り
- 角(かく)|正方形|内角の削り
- 半丸(はんまる)|半円形|パイプの内面や曲面のバリ取り、底面の削り
- 丸(まる)│円形|パイプの内面や曲面のバリ取り
- 三角(さんかく)|三角形|V字溝や底面の削り
適切なヤスリを選ぶためには、
製品や部品の加工したい箇所と同じ形状のものを使用ことが、
一つの大きな基準になります。
目の粗さ
ヤスリの表面についた小さな刃を、小刃(こば)といいます。
小刃どうしの間隔を目(め)といい、その距離を粗さ(あらさ)と表現します。
目の粗さは、25mmの長さのなかで目がいくつあるかを基準としています。
その数の大きさによって、ヤスリは4種類にわけられます。
鉄工ヤスリの目の粗さ(名称│刃長の長さ(mm), 小刃の個数)
- 荒目(あらめ)│150, 30│200, 40│250, 23│300, 20
- 中目(ちゅうめ)│150, 40│200, 36│250, 30│300, 25
- 細目(さいめ)│150, 64│200, 56│250, 48│300, 43
- 油目(あぶらめ)│150, 97│200, 86│250, 76│300, 66
リストをみると、実際にはヤスリ自体の長さ(呼び寸法:よびすんぽう)によって、
同じ粗さでも数が異なることがわかります。(※ヤスリが長くなるほど目が粗くなる)
目の粗いものほど、早く削ることができ、仕上がりが粗くなります。
よって、複数の目の粗さのヤスリを、粗い順から使うこともあります。
複目(ふくめ)/ 単目(たんめ)
ヤスリをみてみると、目がクロスしているものと、
斜めのみに入っているものがあります。
これを、それぞれ複目、単目といいます。
複目は、最も一般的に使われているヤスリの目で、綾目、網目とも呼ばれます。
上目(うわめ)と下目(しため)
ヤスリの目には、上目と下目が存在します。
上目は、ものを削るための目で、65°~85°の角度で刻まれています。
対して、下目は45°で刻まれており、削りによって出た小さなくずを排出する役割があります。
複目の場合、上目の角度は70°~80°のものが一般的です。

※参考:モノタロウ. "3-1 やすりの目と種類". 株式会社MonotaRO, "https://www.monotaro.com/note/readingseries/kakougenba/0301/?srsltid=AfmBOopHZThaXWWH08O5D0nVzk2hR84xKWjE5WVxqrGz1PyTWLyGTUu8",(参照 2025-09-01)
切りくずを排出する役割の下目(しため)と、
切削を担当する上目(うわめ)に分かれており、切削が早いのが特徴です。
目の粗さは、上目でカウントします。
単目は、上目のみが切りつけられています。
鉄工ヤスリの選び方
はじめての鉄工ヤスリには、
平形の複目で荒目-細目(両面で粗さが異なる)のタイプをおすすめします。
また、これまでに紹介した内容をもとに、鉄工ヤスリの選び方をまとめてみました。
お店や通販サイトで選ぶときは、ぜひ参考にしてみてください。
| 早く削りたい / 形の加工に | きれいに削りたい / 仕上げに | |
|---|---|---|
| 硬い金属(鋼、鋳鉄など) | 複目(荒目) | 単目(中目~油目) |
| 軟らかい金属(銅、アルミなど) | 波目(荒目) | 単目(中目~油目) |
| 非金属(プラスチックなど) | 単目(荒目) | 単目(中目~油目) |
セラミックスや刃物など、特に硬い金属には、ダイヤモンドヤスリが適しています。
鉄工ヤスリの使い方
鉄工ヤスリの基本の使い方と、平面出しのコツをご紹介します。
ヤスリの基本の使い方

ヤスリは、押して使用します。
何度も押す必要があるため、見た目は往復運動になりますが、
実際に母材を削るのは押すタイミングです。
また、ヤスリがけには、直進法、斜進法、併進法と3種類の方法があります。
それぞれ縦、斜め、横にしてヤスリがけをしますが、
すべて奥に押すようにして作業します。
※引いて使用する工具(手ノコなど)もあります。
また、力を入れすぎると、必要以上に削ってしまったり、
想定していない動きによるケガの原因にもなります。
- 押して使う
- 力を入れすぎない
以上の2点を念頭に、作業に取り組みましょう。
鉄工ヤスリを使った平面出しのコツ
まわりが安全なとこを確認して、立って作業します。
母材の削りたい面を上にして、固定します。
胸の下くらいの位置で固定すると、やりやすくなります。
右手でヤスリを持ったら、母材と平行になるように上面に置き、
空いている手で上から押さえます。
ヤスリと手の位置をキープしたまま、右脇を締めるように身体を近づけると、
身体が斜め右に向きます。
角度を保ったまま少ししゃがむと、手から体重がヤスリに乗ります。
太ももと膝を使い、前後に往復しましょう。
脇を締めることで軌道が安定し、自然な重みもかかるため、
面の全体を均等に削ることができます。
左手で使用する場合は、文章内の持ち手を逆にしてください。
ヤスリがけの意義
ヤスリがけは、機械化・効率化が進む現在の製造業においても、とても重要な工程です。
正確な寸法や面を出す、安全を確保のために切断面のバリ取りをする……
これらは、職人の技術力をもって、手作業で仕上げる必要があります。
実際に、国内の23歳以下を対象とした技能競技大会である技能五輪全国大会では、
精密機器組み立て、機械組み立てなど複数の競技で、
ヤスリがけの手順が採用されています。
参考:中央職業能力開発協会. "第63回 01.機械組立て" > "資料内容" > "実施要領". 中央職業能力開発協会. 2025-07-18, https://www.javada.or.jp/jigyou/gino/zenkoku/n_63/kadai/01/01_00_jissiyouryou_20250718_nwp6k7.pdf , (参照 2025-07-25)
また、複数の国内メーカーから検定用のヤスリが商品として販売されており、
個人でも購入できます。
まとめ - 鉄工ヤスリの種類は、使い方と用途にあわせて選ぼう

手作業でヤスリがけをして仕上げるには、技術力と集中力が必要です。
機械や金属部品の加工は、非常に精密な作業が要求されます。
自分の実力を存分に発揮するために、正しい道具選びと正しい使い方を心掛けましょう。
TOGIBUでは、みなさんの生活が少しでも豊かになるよう、砥石にまつわるお役立ち情報を発信しています。
Instagramやほかの記事も、ぜひチェックしてみてください。
最後までお読みくださり、ありがとうございました。