こんにちは、ナニワ研磨工業公式通販サイト「TOGIBU」編集部です。
「グラインダーを使っていても、なかなか削れない」「すぐに砥石がダメになってしまう」とお悩みではありませんか?その原因の多くは、砥石の目詰まりや目つぶれにあります。これらを放置すると、作業効率が落ちるだけでなく、加工物の品質低下や思わぬ事故にも繋がりかねません。
この記事では、研磨のプロであるナニワ研磨が、グラインダー用砥石の目詰まりの原因から、砥石を新品のような切れ味に戻すドレッシング(目立て)の方法、そして用途に合わせた正しい砥石の選び方まで、初心者の方にも分かりやすく丁寧に解説します。
砥石が削れないのは、適切な砥石を選べていないから。
グラインダーの砥石が削れなくなる主な原因は、目詰まり、目つぶれ、目こぼれの3つです。どれも砥石の表面(砥粒)が正常に働かなくなる現象で、作業の目的や加工物との相性に適した砥石を選べていないために発生します。
なにかを研ぐことで、砥石は砥粒の脱落と新たな砥粒の露出をくり返します。自生発刃(じせいはつじん:セルフシャープニング)と呼ばれるこの状態こそが健全に砥石が機能している証拠であり、目詰まりなどの症状はなにかしらの原因によって自生発刃が阻害されている状態です。
(前略)その自生発刃を適度に促した状態で研削をすることが砥石使用上、常に重要であり、そのためには適した構造を有する砥石を選択する必要がある。使用砥石の選択を誤ると、適度な自生発刃が行われず、目こぼれ形や目つぶれ形・目づまり形の研削形態となる。目こぼれ形の形態で研削をすると、形状崩れや表面粗さの悪化を引き起こしやすく、目つぶれ形・目詰まり形の形態では研削焼けやびびりが発生しやすい。(後略)
引用元: 公益社団法人 砥粒加工学会 - 砥粒加工基礎講座「砥石」第9回 砥石の選定指針(その1):一般砥粒砥石編
これらの症状を知り、改善と予防をに役立てましょう。
[目詰まり]
目詰まり(Loading)とは、砥石の表面にある砥粒と砥粒の隙間に、加工物の切り屑が詰まってしまった状態を指します。
本来、砥石は砥粒と呼ばれる小さな刃が結合剤で固められており、その隙間(気孔)が切り屑を逃がす役割を果たしています。しかし、アルミやプラスチック、銅などの柔らかい素材や、粘りのある素材を削ると、切り屑がこの隙間にびっしりと詰まってしまいます。こうなると、新しい刃が加工物に当たらなくなり、滑るような感覚とともに研削力が激減してしまいます。
まとめると、目詰まりは隙間がゴミで埋まる現象であり、特に軟質材料の加工時に注意が必要です。
[目つぶれ]
目つぶれ(Glazing)とは、砥石の表面にある砥粒の先端が摩耗して丸くなり、平らな状態になってしまう現象です
これは、砥石が加工物に対して硬すぎたり、結合度が強すぎたりする場合に起こりやすくなります。本来であれば、摩耗した砥粒は自然に脱落し、新しい鋭い砥粒が現れる自生作用が働きますが、目つぶれが起きると古い砥粒が居座り続け、表面が鏡のようにツルツルになってしまいます。この状態では摩擦熱ばかりが発生し、加工面が焼けて変色する原因となります。
目つぶれは刃が丸くなって切れなくなる現象であり、砥石の選択ミスや過度な負荷が主な要因です。
[目こぼれ]
目こぼれ(Shedding)とは、まだモノを削る能力がある砥粒が、結合剤(ボンド)から抜け落ちてしまう状態です。
目つぶれと反対に、砥石の結合度が小さい(やわらかすぎる)こと、研削圧が高いことの2つが原因として挙げられます。そのままにしておくと、研ぎムラが発生するだけでなく、砥石自体の寿命も短くなってしまいます。
作業する砥石をより硬い製品に変更することが対策として有効です。
砥石を復活させる「ドレッシング(目立て)」
削れなくなった砥石を元の切れ味に戻す作業をドレッシング(目立て)と呼び、ドレッサーという専用の道具を使用して行います。
ドレッシングをすることで、砥石表面に詰まった切り屑を取り除き、さらに摩耗した古い砥粒を強制的に脱落させて、新しい鋭い刃(砥粒)を露出させます。これにより、まるで新品のような研削力を取り戻すことが可能です。グラインダーを頻繁に使用するなら、ドレッサーは必須のメンテナンス製品と言えます。
ドレッサーの種類と使い方
ドレッサーには、大きく分けてダイヤモンドドレッサーとスティックドレッサー(金剛砂など)の2種類があります
- ダイヤモンドドレッサー:非常に硬いダイヤモンドの粒子を使用しており、高い精度で砥石の面を整えるのに適しています。
- スティックドレッサー:砥石のような棒状の道具で、回転している砥石に直接押し当てて表面を削り取ります。初心者でも扱いやすく、簡易的な目詰まり解消に最適です。
使い方の基本は、グラインダーを回転させた状態で、ドレッサーを軽く、かつ均一に砥石の表面に当てることです。この際、火花や粉塵が飛ぶため、必ず保護メガネとマスクを着用してください。
ドレッシングの適切なタイミング
「火花が少なくなった」「加工物が熱を持ちやすくなった」「削る音が変わった」と感じたら、それがドレッシングのサインです。
無理に押し付けて削り続けようとすると、摩擦熱で加工物が歪んだり、砥石が破損したりする恐れがあります。作業の手を一度止め、砥石の表面を観察してください。表面が黒ずんでいたり(目詰まり)、光を反射してキラキラしていたり(目つぶれ)する場合は、すぐにドレッシングしましょう。
まとめると、ドレッシングは異常を感じたらすぐ行うのが、砥石を長持ちさせ、安全に作業するためのコツです。
砥石選びの3要素:材質、粒度、結合度
目詰まりや目つぶれを防ぐ最大の対策は、用途(加工物の材質)に合った適切な砥石を選ぶことです。
砥石には、それぞれ適した材質や用途が決まっています。不適切な砥石を選んでしまうと、どんなに技術があっても目詰まりや目つぶれを頻発させてしまいます。材質、粒度、結合度。この3つのポイントを意識して選んでみてください。
加工物の材質に合わせる
鉄にはA(アランダム)、ステンレスにはWA(ホワイトアランダム)、超硬合金や非鉄金属にはGC(グリーンシリコンカーバイド)の砥粒を選びましょう。
- A/WA(アルミナ系):一般的な鋼材やステンレスに適しています。
- GC/C(炭化ケイ素系):硬くて脆い材料(鋳鉄、超硬合金)や、非鉄金属(アルミ、銅)に適しています。
材質が合っていないと、自生作用が正しく働かず、目詰まりや目つぶれの原因に直結します。
粒度(番手)を使い分ける
大きく削りたい時は粗目(低い数字)、仕上げを綺麗にしたい時は細目(高い数字)を選びます。
例えば、溶接ビードの削り落としには#24?#36の粗目を、表面の滑らかさを出したい時には#80?#120の中目や細目を使用します。目的に合わない細かい番手で無理に大量に削ろうとすると、すぐに目詰まりを起こしてしまいます。
結合度(硬さ)を確認する
柔らかい材料には硬い砥石(結合度が高い)、硬い材料には柔らかい砥石(結合度が低い)を合わせるのが基本です。
意外に思われるかもしれませんが、硬い材料を削る時は、砥粒がすぐに摩耗するため、次々と新しい刃が出るように結合度が低い(脆い)砥石を使うのがセオリーです。逆に柔らかい材料では砥粒が長持ちするため、結合度が硬いものを選びます。このバランスが崩れると、目つぶれが起きやすくなります。
砥石選びは材質・粒度・結合度の3要素の組み合わせが重要です。
まとめ|ディスクグラインダー砥石の選び方用途、機械、素材との相性
グラインダーの砥石が削れない原因は、切り屑が詰まる目詰まりか、砥粒が摩耗する目つぶれのいずれかです。これらを解消するには、ドレッサーを使用した適切なメンテナンス(ドレッシング)が欠かせません。
また、作業の効率と安全性を高めるためには、加工物の材質に合わせて砥粒の種類や粒度、結合度を正しく選択することが最も重要です。「いまの砥石はあっていないのかも?」と感じたら、新しい砥石選びの参考に、この記事をお役立てください。
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