今回はみなさんにも包丁を研いでいただき、研ぎの楽しさや研がれた包丁で料理することの快適さを実感していただければと思います。
砥石を使ったことがなかった私たちが研げるようになるまでを振り返ってみて、重要な箇所だけをまとめてみました。
肩肘張らずにご自身のペースで読んでみてください。
そもそもなぜ包丁は切れなくなるのか、そこからおさらいしてみましょう。
切れない包丁は刃先の断面が丸く、刃先の表面を拡大して見るとギザギザではなくまっすぐになっています。
一方、新しい包丁やよく研がれた包丁の刃先は細かいギザギザになっています。
包丁で食材を切るにはこのギザギザが重要で、刃先のギザギザが食材に食い込むことによって切ることができるのです。
硬いものを切ったり、まな板にあたることで次第に刃先のギザギザが潰れていき、切れにくくなっていきます。
料理をいつも楽しむのであれば月に一度は砥ぐことが理想です。
そうすれば食材を切るのにストレスを感じることなく、楽しく調理ができるでしょう。
さてはじめに、包丁研ぎをする上で自分の包丁を知ることが重要になってきます。
包丁を研ぐ前にの確認するポイントは3つです。
- 包丁の材質確認
- 刃先の形
- 刃先の状態
はじめに包丁の材質を確認すること、ものすごく簡単に言えばセラミック包丁か否かです。
【研ぎたい包丁はどんな包丁?】の記事にもありましたが一般的な包丁は鋼やステンレス製なので砥石で砥ぐことはできますが、セラミック製の包丁は非常に硬いので相性の良い砥石でないと研ぐことは難しいです。もし、セラミック製の包丁をお持ちであればダイヤモンド砥石をおすすめします。
続いて、刃先の形に注目します。包丁の表と裏をよく見ましょう。
表と裏に両方同じ角度で刃がついていれば両刃包丁、表側だけに刃がついていれば片刃包丁です。
(刃先でけがをしないようにご注意ください)
両刃と片刃の違いにより研ぐ工程が少しだけ変わります。
刃先の状態はどうでしょう。ここで重要なのは欠けを探すことです。
大きく欠けていれば荒砥石、目立った欠けがなければ中砥石を使いましょう。
(以前の【砥石の選び方】ではより詳しく書いています)
「包丁の材質確認」、「刃先の形」、「刃先の状態」を確認できたら、実際に包丁を研いでみましょう。
はじめに砥石を水に浸します。
砥石がすっぽり入る容器(油や水以外のものが付着していないもの)を用意し、その中に砥石を入れます。入れたら砥石の上面が5mmくらい水面から出るように水を入れます。
砥石には目に見えない小さな気孔(穴)があり、そこに水が吸い上げられていきます。
砥石全体に水が吸収されれば、容器から取り出します。ここまでの目安はだいたい5分ほどです。
*砥石の粒度や製法によっては上記方法で水を吸い上げないものもあります。その場合は砥石全体を完全に水に浸してください。
一般的な砥石はこのように使う前に十分に水を含ませから使います。このときに含まれた水は包丁の摩擦によって生じた熱が籠るのを防ぎ、滑りをよくする働きもします。
ただし、砥石によっては水に浸けるのではなく、水をかけながら使う砥石もあるのでご注意ください。
以下のものを準備しましょう。
十分なスペース
刃物を使うので周りに気をつけましょう。
濡れ布巾(汚れてもいいもの)
平らな場所に濡れ布巾を敷いてその上に砥石を乗せて下さい。濡れ布巾は、包丁を研ぐ時に砥石が動かないようにする働きがあります。中には砥石台がくっついている砥石もありますが、台に付いている滑り止めゴムだけでは不安定な場合がありますので、その場合も濡れ布巾を敷いた方が安心です。
水を入れた容器や霧吹き
水をかけながら包丁を研ぐので、用意しておくと便利。
それでは一例として一般的によく使われる両刃の三徳包丁を中砥石で研いでみます。
写真のように包丁を握ります。そして、包丁を砥石に45度から60度くらいの角度で乗せます。
このときに刃のアゴに親指を載せるのがコツで、刃を砥石に当てる角度を固定しやすくなります。
刃先だけが砥石に触れるようなイメージで、刃を砥石に当てたまま、包丁の背中(峰)を少し持ち上げます。持ち上げる角度は15度くらい、ちょうど10円玉2枚が間に入るくらいが目安です。
包丁の角度をできるだけ動かさないように気を付けながら砥石の上を前後にスライドさせます。
このときあまり力を入れ過ぎないようにしましょう。一度に包丁全体を研ぐことは難しいので、イラストのように3か所に分けて研ぎます。それぞれの部分を各20回ずつくらい研ぎます。
研ぐ回数を合わせるときれいに研ぐことができます。
包丁がうまく研げたかどうかは刃に包丁の削りかすである「カエリ」がついているかどうかでわかります。イラストのように刃を指でなぞり、ひっかかりがあればそれが「カエリ」です。
*けがをしないように十分に気を付けてください
この「カエリ」ができていると上手く研げた証拠です。逆に「カエリ」がない場合はもう一度研ぎ直してください。
ただし、仕上砥石など粒度の高い(目の細かい)砥石を使った場合は、「カエリ」がわかりにくい場合があります。
反対側を研ぐ場合も包丁の刃の向きが変わるだけで研ぎ方は同じです。
反対側も研ぎ終わったら「カエリ」ができているか確認しましょう。
うまく「カエリ」ができていたら研ぎ終わりです。最後に「カエリ」が付いた側の刃を砥石に当て2、3回研いで「カエリ」を取ります。
研ぎ終わった包丁は中性洗剤でよく洗い、水気を切って保管してください。
砥石は、洗剤を使わずに水洗いして、日陰干ししてから片付けてください。(完全に乾くには2日間ほどかかります)
面直し修正について
「面直し」とは砥石表面の出っ張った部分を削り取ることで平らな状態に戻す作業のことをいいます。
この「面直し」、なぜ必要なのかといいますと包丁と砥石を大事に使うためです。
包丁を研ぐ際に砥石が平面でなければ必ず型崩れを起こし、正常な刃をつけるのが困難になります。また、面直しをすることは刃物をベストな状態で砥げるだけでなく、砥石自体を長持ちさせることにつながります。
砥石を使い終わったら、砥石のメンテナンスとして面直しもしましょう。
いかがでしたか。
砥石も包丁も奥深いものなので、突き詰めればまだまだたくさんの要素がありますがまずは難しいことを考えず包丁研ぎを楽しみましょう。
今回の記事が包丁研ぎに興味を持たれている方の一助となれば幸いです。
【まとめ】
砥石を使ったことがなかった私たちが研げるようになるまでを振り返ってみて、重要な箇所だけまとめてみました。
肩肘張らずにご自身のペースで読んでみてください。
そもそもなぜ包丁は切れなくなるのか、そこからおさらいしてみましょう。
包丁で食材を切るにはギザギザが重要で、刃先のギザギザが食材に食い込むことによって切ることができるのです。硬いものを切ったり、まな板にあたることで次第に刃先のギザギザが潰れていき、切れにくくなっていきます。
料理をいつも楽しむのであれば月に一度は砥ぐことが理想です。
そうすれば食材を切るのにストレスを感じることなく、楽しく調理ができるでしょう。
包丁研ぎをする上で自分の包丁を知ることが重要になってきます。
包丁を研ぐ前にの確認するポイントは3つです。
- 包丁の材質確認
- 刃先の形
- 刃先の状態
以上、3つを確認出来たら実際に包丁を研いでみましょう。