日常で見かけることの多い「シャープナー」。
スーパーの売り場や料理用品を扱うお店など、
包丁を販売しているところには必ずと言っていいほどシャープナーが置かれています。
包丁のメンテナンスと聞いて砥石(といし)を思い浮かべても、いざ使うとなると難しいと感じる方も多いはず。
そんな時に強い味方となるのがシャープナーです。
この記事では、シャープナーを使用した包丁の研ぎ方や、メリットとデメリットについてお伝えします。
また、砥石と比較した際にどんな特徴があるのかを解説しますので、ぜひ参考にしてください。
なぜ包丁の切れ味は悪くなる?

シャープナーについて詳しく触れる前に、
そもそもなぜ包丁は切れなくなってしまうのか知っていますか?
包丁が切れなくなる原因は刃の摩耗です。
食材を切ったりまな板にぶつかることによる衝撃で、
包丁の刃は徐々に摩耗し、切れ味が悪くなってしまいます。
本来包丁は、「刃先が鋭く尖っていること」、
「表面に凹凸(ギザギザしている)がありノコギリのような役目を果たしてくれること」
の2つの条件が揃い、鋭い切れ味を保ってくれます。
しかし、摩耗により刃先が丸くツルツルの状態になると食材の上で刃が滑ってしまい、
切れ味が悪くなってしまいます。
料理の際トマトに包丁を入れてもキレイに切れずに潰れてしまう、
玉ねぎを切ると繊維がつぶれて目にしみる、などはまさに包丁を研ぐサインです。
シャープナーの選び方
次にシャープナーの選び方についてご紹介いたします。
一口にシャープナーといっても、様々な種類が販売されています。
形状やタイプ、刃の材質、安全性などに注目して、自分に合ったシャープナーを選びましょう。
形状・タイプから選ぶ
シャープナーは大きく4つのタイプに分けることができます。
ロール式シャープナー
ロール式シャープナーは、先端についている2枚の砥石が、
刃を挟んだ状態で回転することで刃先を研ぐ仕組みです。
ロール式シャープナーは他のシャープナーに比べ、
刃を研ぐ方向が砥石で研いだ時と同じ方向になることから、
砥石で研いだような本格的な仕上がりに近づけることができます。
また、さらにクオリティの高い仕上がりを求める方には、
水研ぎができるものや番手の異なる研ぎ口が複数あるものがオススメです。
交差式シャープナー
交差式シャープナーは、V字に交差した2枚の砥石の溝に包丁を通して研ぐ種類です。
構造が簡単なため安価なものが多く、数百円から購入することが可能です。
ただし刃先部分のみにしか砥石が当たらず、かえって切れ味を悪化させる恐れがあります。
高価な包丁への使用は避け、包丁自体に厚みがあり刃先が鈍角な包丁に使用するのがよいでしょう。
電動式シャープナー
電動式は内蔵された砥石が回転もしくは振動し、
包丁を軽く当てるだけで研ぐことができます。
扱いが簡単なシャープナーの中でも、特に簡単で手軽にメンテナンスをすることができます。
商品によっては稼働音やサイズが大きいものがあるため、
実物をしっかりと確認してから購入することをオススメします。
研ぎ棒
研ぎ棒とは棒状のシャープナーで、刃先をなでるようにして研ぐ種類です。
扱いは難しくなりますが、包丁以外のもハサミやピーラーといった幅広い用途で使用できます。
しかしテーブルやキッチンの上で置いて使用するタイプと違い、
力加減や研ぐ角度を調節し安定させる必要があります。
包丁を研ぐ場合はしっかりとした握りやすい持ち手と、
20㎝前後の長さの扱いものを選ぶようにしましょう。
包丁の材質・種類から選ぶ
材質とは、鋼、ステンレス、セラミックのような刃の素材のことです。
代表的な鋼包丁、ステンレス包丁などですとほとんどのシャープナーが対応しています。
ただ、セラミックのような非常に硬い鋼材は、
一般的なシャープナーでの研ぎに適していないため、対応した商品や専用の砥石を使用する必要があります。
また、両刃・片刃についても注意が必要です。
片刃包丁には対応していない商品も少なくはないため、
手持ちの包丁に合わせて「両刃・片刃対応」の商品を選んでおくと安心です。
シャープナーの研ぎ方
ロール式シャープナーの場合
一般的な据え置きタイプのロール式シャープナーの使い方をご紹介します。
1.シャープナーを机やキッチンカウンターなど平らで安定した台の上に置く
※ポイント:濡れ布巾などを敷くと、より滑りにくくなり安定します。
2.包丁をシャープナーに差し込む
3.シャープナーをしっかり握り、手前に10回ほど繰り返し引く
※ポイント:あごから先まで、力を入れすぎないよう軽い力で動かしましょう。
複数の差込口あり砥石の種類が分かれている場合は、
荒目から細かいものの順番に研いでいきます。
棒状の場合
棒状のタイプのシャープナーの場合は、以下の通りです。
1.包丁の刃先を、棒に対して約15~20度の角度で当てる
2.角度を保って刃元から刃先まで当たるように包丁を動かす
据え置きタイプと比べ安定させることが難しいため、けがをしないよう注意が必要です。
シャープナーのメリットとデメリット

シャープナーのメリット
・短時間で刃物をメンテナンスできる
・初めての人でも簡単に使用することができる
・保管がしやすい
シャープナーの一番のメリットは、何と言ってもお手軽に包丁を研ぐことができることです。
砥石を使って研ぐと作業時間は数十分、
また状態の悪い包丁を本格的に研ごうとすると、1時間以上かかる場合も。
慌ただしい日々の中、なかなかこれだけの時間をとるのは大変だと感じる人もいるでしょう。
そんな時シャープナーであれば、わずか数十秒から数分でできるため、
気になったときすぐ作業に取り掛かることができます。
また、シャープナーは決められた箇所に刃先をセットし、
角度や力加減をほとんど気にせず使用できるため、初心者でも簡単に扱えます。
さらに、手のひらに乗るような小さなサイズや、
マグネットで冷蔵庫などに貼り付けて収納できるタイプなど、
保管しやすい商品が多いことも特徴です。
シャープナーのデメリット
・すぐに切れ味が悪くなる
・刃こぼれの原因になり刃をボロボロにしてしまう可能性がある
実はシャープナーでの作業は、「刃に細かいギザギザをつける」こと、
言い換えれば刃先を研ぐことではなく刃先を荒らことです。
刃の先端を削り荒らすことで一時的に食材への食い付きをよくしているの状態のため、
切れ味は長持ちせずかえって刃を痛めてしまう恐れがあります。
また、包丁の形をよく見てみると、
刃先にかけてゆるくカーブしており角度が一定ではありません。
しかし、シャープナーでは角度の調節ができないためバランスよく研ぐことができず、
結果的に切れ味を悪くしてしまいます。
まとめ
シャープナーはメンテナンスを手軽にしたい方にとって、非常に便利なアイテムです。
形状や手持ちの包丁の材質を考えながら、自分に合ったシャープナーを見つけてみてください。
気を付けたいのが、シャープナーのみのメンテナンスでは包丁の刃を痛めてしまい、
いずれダメになってしまうということです。
ですので、補助的な役目としてシャープナーを取り入れるのがオススメです。
日常使いの包丁の場合、砥石でのメンテナンスは月に1回程度が目安です。
その間に切れ味が気になったときは、シャープナーを使うといいでしょう。
定期的な砥石のメンテナンスに加えて、
日常を手助けするアイテムの一つとして使い分けていくことで、
普段のお料理をストレスなく楽しんでいきましょう。
※「砥石のおすすめと初心者向け選び方完全ガイド」についてはコチラ